■テープカットの立ち位置

イベントや施設のオープニングでテープカットがよく行われますが、登壇者の立ち位置はどのように決めていますか?
「何となく」で決めるのではなく、その理由を明確な根拠で説明できることで、スムーズな進行や信頼を得ることに繋がります。
ここでは、テープカットの立ち位置についてご説明いたします。

◆ 登壇者(テープカッター)の立ち位置は、どちらが正しい?

テープカッターの立ち位置は、中心から外側へ優位準に並んでいただきますが、下図のように2パターンがあります。
どちらが正しいのでしょうか。

結論から言うと、どちらも正解です。
何故ならば、優位者位置の考え方は複数あり、下図どちらのパターンも存在するからです。
最上位者①の次席、②は①の左右どちらに立つのが正しいのか、という検討はもちろんですが、そもそも、最上位者①が主催者なのか、
或いは主賓なのか、といった基本的な考え方も会社や組織、イベントの内容によっても異なります。
また、上図左の場合、主催者側メンバーを②④、来賓側メンバーを③⑤とすることもあります。
多くのテープカットでは、テープカッターは胸章を付けますが、主催者側は白、来賓側は赤が一般的です。
上図ではテープカッターが5人ですが、10人程度の多くが行う場合には、例えば左に白胸章、右に赤胸章を集めた方が記録写真を残す
際に分かりやすいと言った意味も含まれることによります。


大切なことは、<何故複数の正解がある中で、今回はこのパターンを選んだのか>を、制作者が掌握していることにあります。
それでは、複数ある立ち位置について解説してまいりましょう。

◆ 登壇者(テープカッター)の立ち位置・2つのパターン

テープカットの立ち位置については、たくさんの資料がネット上にアップされており見解は様々ですが、
建物をバックにテープカットを行う場合と、建物に向かってテープカットを行う場合で、並び順を決めることが多いようです。

<建物をバックにテープカットを行う場合>
<建物に向かってテープカットを行う場合>

ただし、会社や組織の考え方によっても異なったり、また、会場全体を見渡した際に、入口に近い方、倉庫や控室のある方を
下位とする考え方もありますので、状況に応じた検討項目の精査が必要です。
「能舞台」では、下手側に出入口があります。座席を決める際に、身分の高い人から出入口から一番遠い「上座」に座り、
低い人は出入口に近い「下座」に座ります。能舞台のルールでは、出入口側が「下手」で、遠いところが「上手」なのです。

それでは次に、そもそも何故、下記A・Bが存在するのかをご説明いたします。

◆ 立ち位置には何故2つのパターンが存在するのか

<上記A(=④②①③⑤の順)>
これは、プロトコールという万国共通の国際儀礼から来ているものなのです。プロトコールマナーの決め事のひとつに、右上位といって目上の方や、立場的に強い方が右側にくるというルールがあるのです。そのため、これを踏襲しているスポーツ、オリンピックや世界陸上、ワールドカップなどの表彰台は、中央が1位/向かって左が2位/向かって右が3位という並びになっています。

<上記B(=⑤③①②④の順)>
客席から見て、右側が上手で、左側が下手です。これは、昔の日本の身分による立ち位置に関係していると考えられています。
天皇の次の位は大臣ですが、「右大臣」「左大臣」の位があり、左大臣の方が上位で、この「左」は「天皇から見て左」になります。
お雛様の飾りつけで、右大臣が左側、左大臣が右側なのは、天皇(お内裏様)から見ての左右になるからです。
この考え方では、ステージでも上手側に位が高い人がいる事になります。

◆ まとめ
上記にように立ち位置については2つの考え方(+会場環境要素)があります。

繰り返しになりますが、<何故複数の正解がある中で、今回はこのパターンを選んだのか>を制作者が明確に根拠を持つことが大切です。例えば、右図のような会場の場合、下記のように主催者様に説明さしあげてはいかがでしょうか。
「中心に主催者代表の社長様にお立ちいただき、②に〇〇様、③に〇〇様・・・とお並びいただきます。②と③の優位席につきましては、日本伝統の左大臣・右大臣の考え方に従って(図中の)③を優位とする考え方もありますが、今回はオリ
ンピックなどの表彰式にも採用されているプロトコール方式を採用しました。会場右側に会場入口と式典後の出口が配置されていることから、会場左側を優位と捉え(図中の)②が③よりも優位席と解釈したためです。いかがでしょうか。」

テープカットセレモニーの検討の際には、どうぞご参考にしてみてください。

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